今回は、自転車の鍵について書こうと思います。
以前から自転車の鍵は日常的に使ってきましたが、この度、ブロンプトンというミニベロ(私にとってはかなり高級なミニベロ)を購入しましたので、新たに自転車ロックも調達しました。
ロードバイクは非常に高価なので、盗難対策には万全を期したいところですが、自転車ロックの盗難防止の効果は、一般的に重量と比例します。
例えば、ガチガチのU字ロックは盗難防止効果は抜群ですが、鍵自体がかなり重く、持ち運びに苦労します。
今までグラム単位で軽量化にこだわってきたロードバイクに対して、1kg以上の鍵を持ち運ぶのはあまりに無念です。そういった心情的な理由もあり、多くのライダーがそうであるように、現状としてワイヤーロックを愛用しています。
しかし、今回はブロンプトンの盗難対策として鍵が欲しいのです。したがって、ロードバイクほど鍵本体の重量は気にしません。軽量なものに越したことはないですが、今使っているワイヤーロックよりも品質の面で安心できる鍵が欲しいです。
ということで、検討した結果、私が購入したのは「アブス Bordo 6000」です。
アブスとは?
ABUS=アバスまたはアブスと呼びます。私はアブスと呼んでいます。
ヨーロッパで最大のシェアを誇る、セキュリティに最も必要な品質にこだわった80年以上も歴史のある鍵メーカーです。
生産国は主にドイツのようです。
さまざまな鍵を扱っており、独自のセキュリティレベル1〜15というランク付けを行っています。
仮に自転車が盗難されたときの見舞金制度を設けており、セキュリティレベル5〜6は最大3万円、セキュリティ7〜15は最大10万円の見舞金が支払われます。
自転車ロックの種類も多く、カテゴリー別に下記のラインナップがあります。
【ブレードロック】
頑丈なプレートを連結させた鍵です。コンパクトにまとまるのがメリットです。ブレードロックだけで、12種類のラインナップがあり大変豊富です。結果からいうと、私が購入したのはブレードロックになります。
【チェーンロック】
頑丈なチェーンを布で巻いたモデルで千円台〜2万円台と価格幅が広いです。15商品のラインナップがあります。
【アーマードケーブルロック】
ケーブルの外装をスチール素材で保護した二重構造の鍵です。10商品のラインナップがあります。
【ケーブルロック】
アブスでもコストパフォーマンスに優れたモデルで、低価格の商品が多く見られます。13商品のラインナップがあります。
【U字ロック】
セキュリティレベルが高いU字ロックです。「自転車を盗難から守る」という目的だけで考えれば、U字ロックが最強かと思います。6商品のラインナップがあります。
セキュリティレベルにどれくらいの差があるのか?
繰り返しになりますが、アブスの鍵はセキュリティレベル1〜15があります。もちろん、レベル15の鍵が「自転車を盗難から守る」という意味では最も優れていますが、コスト面や使い勝手など全体のバランスを見ていく必要があります。
見舞金がセキュリティレベル5〜6で3万円、レベル7〜15で19万円ということを踏まえれば、ブロンプトンの価格が約20万円なので、セキュリティレベル7以上の自転車ロックが欲しいものです。
シリーズ別に性能を比較してみた
先ほどご紹介したように、ブレードロック、チェーンロック、U字ロックなど、アブスは多くのシリーズがあります。セキュリティレベル7以上の商品を購入することまでは決めましたから、どのシリーズが良いか、ここで比較検討していきます。
シリーズ | 収納スタイル | 使いやすさ | セキュリティレベル ※7以上のみ表示 |
ブレードロック | バッグor車体に取り付け | 〇:一定の動きが可能 | 7,9,10,15 |
チェーンロック | バッグor車体に取り付け | ◎:柔軟な動きが可能 | 7,8,10,13,15 |
アーマードケーブルロック | バッグor車体に取り付け | ◎:柔軟な動きが可能 | 7,8,9 |
ケーブルロック | ー | ー | ※レベル7以上がない |
U字ロック | バッグor車体に取り付け ※他に比べ場所をとる |
△:ガチガチに硬い | 8,12,13,15 |
上記のとおり、セキュリティレベル7以上の商品について、シリーズ毎に「未使用時の携帯性」、「使いやすさ」の項目に分けて検討しました。ちなみに、重量も比較検討のうえで重要な項目ですが、個々の商品によりバラつきが見られるので、この段階では重量は検討しません。
さて、ここから商品の絞り込みを行いますが、まず、U字ロックのシリーズは対象から外します。理由として、未使用時の携帯性の観点から荷物としてかさばること、それから鍵本体に柔軟性がないため、鍵をかける(特に地球ロックする)行為において、場所が限定されることが挙げられます。
よって、ブレードロック、チェーンロック、アーマードチェーンロックが候補として残りましたが、チェーンロックはすでに所有していますし、アブスと言えばブレードロックという印象があるため、今回はブレードロックを選択したいと思います(今まで使ったことのない新しい形態のカギを試してみたいという思いがあり、理屈ではなく感情的な整理となってしまいました)。
ということで、ブレードロックでセキュリティレベル7以上の商品は下記のとおりです。
商品名 | セキュリティ レベル |
価格 | 重量(g) | 長さ(mm) |
Bordo Granit X-Plus 6500 | 15 | 18,480 | 1,580 | 850 |
Bordo Alarm 6000A ※アラーム機能有 |
10 | 24,000 | 1,450 | 900 |
Bordo Centium 6010 | 10 | 24,000 | 1,250 | 900 |
Bordo 6000 ※長さ750mm/900mm |
10 | 14,700 | 1,220 | 900 |
Bordo 6000 ECOLUTION | 10 | 14,700 | 1,220 | 900 |
Bordo Combo 6100 ※長さ750mm/900mm |
9 | 14,700 | 1,250 | 900 |
Bordo Big 6000 | 10 | 15,750 | 1,400 | 1,200 |
Bordo Lite 6055 | 7 | 7,980 | 500 | 800 |
Bordo Lite 6055 Mini | 7 | 5,980 | 440 | 600 |
U GRIP BORDO 5700 | 7 | 5,400 | 830 | 800 |
Bordo Lite 6050 | 7 | 7,400 | 650 | 850 |
上記の表を見れば分かるように、セキュリティレベル7であれば、コストも重量もかなり抑えることができます。私自身もレベル15の鍵を求めているわけではないので、ある程度の信頼性があり、軽量化も魅力的だし、レベル7から選択しようかと考えました。
しかし、結果としてレベル7の鍵を買うことはやめました。
なぜなら、下記の記事で「U GRIP BORDO 5700」の格付け試験を行っており、750mmのボルトクリッパーでたった2分でカギを切断してしまったからです(350mmのボルトクリッパーだと約6分30秒とのこと)
ABUS(アブス) U GRIP BORDO 5700を格付してみた - Bicycle Security Lab
格付けレベルで「トイレなら行けるかも」という位置付けがされています。
自転車ロックに絶対的なものはありませんが、セキュリティレベル7で十分かと思っていた考えが打ち砕かれました。
ということで、セキュリティレベル7は候補から外しました。残るのは、セキュリティレベル9、10、15となります。
コスト面から見て、2万円もするカギは手に届きませんし、「Bordo Big 6000」のような1200mmという長さも必要ありませんので、必要な長さ900mmで考えますと、最終的にセキュリティレベル10の下記の3商品が残りました。
候補①
「Bordo 6000」・・・収納ケースあり
候補②
「Bordo 6000 ECOLUTION」・・・収納ケースがしょぼいのに金額が変わらない
候補③
「Bordo Combo 6100」・・・金額が変わらないのにセキュリティレベルが9なのがイヤ
ということで、「Bordo 6000」を購入することに決定ました。
アブス Bordo 6000を使ってみた感想
購入したのは、Bordo 600pというセキュリティレベル10のブレードタイプの鍵になります。
☝パッケージはこんな感じです。MADE IN GERMANYです。
☝収納ケースにピッタリと納まります。写真からは分かりずらいですが、かなりゴツイです。重量を計測したところ、1.2kgありました。寸法はH5.5m×W21cm×D4cmとなります。
☝収納ケースはこんな感じです。ケースだけで重量は128gです。かなり丈夫なゴム素材です。
☝ブレードを開くとこんな感じです。各ブレードは水平に可動します。この写真の状態ですと、寸法は縦30cm×横16cmです(ブレード1枚あたり約16cmあり、端の重なりがあるため、このような寸法になります)。
ブロンプトンに使用した感想ですが、率直に言って実用性の面では不満があります。
不満その1:車体への取り付け位置
☝ブロンプトンの場合ですと、折り畳みサイズがとても小さくなりますが、これは逆にいえば、無駄な隙間がないとも言えます。つまり、上記の画像のようにアブスの取り付け位置は限られます。上記画像のように取り付けますと、残念ながらブロンプトンのシールと重なってしまいます。正直、ブロンプトンシールと干渉してシールが剥がれてしまうのは抵抗があります。
不満その2:さすがに重すぎる
収納ケースを除いた単純なブレードロック本体の重量が約1.2kgあります。購入する時点では、「少し重いけど、これで盗難防止なるならやむを得ない」と考えていましたが、いざ実物を手にしてみると、持ち運ぶのが億劫になるほど重いです。正直、日常的に持ち運ぶのはキツイものがあります。
不満その3:今までのワイヤーロックに比べて使いづらい
これは当然のことですが、ブレードロックは金属プレートを繋げたものであり、ワイヤーロックのような柔軟な動きはできません。したがって、地球ロックをする場合に、少し手間がかかります。しかし、必要最低限には動きますし、U字ロックに比べれば許容範囲です。
まとめ:使いやすさを考慮すればセキュリティレベル7が妥当
ブレードロック Bordo 6000はかなりゴツイので、鍵本来の目的である盗難防止の観点でみれば、かなりの威力を発揮すると思われますし、また、効果抜群のオーラが漂っています。このカギが盗難行為そのものを諦めさせてくれることを期待します。
自転車のカギは、自転車が盗難されてはじめてその必要性に気づくものです。端的な言い方をすれば、盗難されない限りは、はっきり言って邪魔なものでしかありません。
盗難されるかどうかは結果論でしか言えませんが、「Bordo 6000」は使い勝手に不満はあるものの、品質面・信頼性においては納得のいくカギであると認識しています。
ただし、個人的な感想ですが、あまりに重いしサイズもデカイと感じます。品質で劣るものの、使いやすさをもう少し重視して、セキュリティレベル7の「Bordo Lite」シリーズを購入すれば良かったと感じています。
少しでも参考になれば嬉しいです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。